zilch "ELECTRIC CUCUMBER" PV Album 3.2.1 ver.


ALBUM 『3.2.1』1998.7.23 01. ELECTRIC CUCUMBER 02. INSIDE THE PERVERT MOUND 03. SOLD SOME ATTITUDE 04. SPACE MONKEY PUNKS FROM JAPAN 05. SWAMPSNAKE 06. WHAT'S UP MR. JONES? 07. HEY MAN SO LONG 08. PSYCHE 09. FUCTRACK #6 10. DOUBT 11. POSE 12. EASY JESUS 2ndアルバム『PSYENCE』(96年9月発売)を制作しているころから、すでにレコーディングがスタートしていたというhideの秘密兵器、ジルチ。そのバンドを構成するメンバーも最近ではオブリヴィオン・ダストなどの新鋭バンドのプロデュースでその手腕を発揮しているレイ・マクヴェイ、過去にキリング・ジョークやプロングに在籍していたという経歴を持つポール・レイヴンというひと癖もふた癖もある強者である。そしてようやく届けられた、彼らのアルバム『3・2・1』は紛れもなく世紀末の問題作だ。70年代や80年代の音楽が持つパッションを90年代に昇華させた彼らのヘビーロックは、きっと多くのロックファンを虜(とりこ)にすることだろう。  今までベールに包まれていた、このジルチ。どんな経緯で生まれたバンドなのか、どんな状況下でこのアルバムが作られたのかを、レイ・マクヴェイとポール・レイヴンに語ってもらった。 ●まずはジルチが結成にいたった経緯を教えてください。 レイ・マクヴェイ(Pro&G、以下レイ):OK。(ホワイトボードに向かうレイ。そこにはジルチが結成にいるまでの人脈図が書かれていた) ●おお、図説だ。 レイ:(図を説明しながら)ミック・カーン(元ジャパンのベーシスト)、トモダチ。 ポール・レイヴン(B、以下ポール):ホモダチ(笑)。 レイ:昔、僕はミック・カーンと同じ家に住んでいたんだ。そして彼からYOSHIKIのことやXのことも聞いた。当時、僕がプロフェッショナルズとかセックス・ピストルズの仕事をやっているときに、レイヴンはキリング・ジョークをやっていて、もちろん彼ともトモダチだった。僕はオブリヴィオン・ダストになる前のアディデティック・オブ・ザ・トリップ・マインドというバンドのデモテープの制作のために日本に行ったんだけど、僕が来日している間にそのテープがhideの手に渡ったんだ。それが95年の10月ぐらいで、初めてhideと会った。そのときに彼が持っている夢を聞かせてもらったんだけど、その夢というのは「音楽を変えよう」だった。彼には「日本の中にある洋楽・邦楽という壁をぶち壊してみよう」という具体的なビジョンがあって、それは僕も同じ気持ちだった。僕もイギリスとかアメリカに対する同じイラ立ちとか怒りを持っていたからね。そのときからレイヴンと一緒にやりたいと思っていたから電話で彼に「同盟組もうぜ!」って言ってたんだよ。それで僕はロンドンに住んでいて、hideは東京で、レイヴンはロサンゼルスだったんで、その中間ということでロサンゼルスでこのプロジェクトを始めることになったんだ。そして、95年12月のXの東京ドームで初めてhideのライブを観たんだけど、そのときにレイヴンもエンジニアのビル・ケネディも日本に来ていて、そこで初めてジルチという形になった。その東京ドームの次の日から、もう渋谷のスタジオに入ったね。 ●行動が早い! レイ:当時、レイヴンはまだプロングをやっていて、彼はそこで新しいことをやりたくてビル・ケネディとかエンジニアやマニピュレーターのレコーディングスタッフをそろえていたんだけど、プロングとはそれが原因でケンカになって脱退するんだよ。そして、そのスタッフがそのままジルチになるんだ。だから、「Elect-ric Cucumber」はもう96年の5月に完成していて、PV(プロモーション・ビデオ)も撮り終えていたね。そのビデオを撮ったのもロサンゼルスのルームメイトなんだよ。 ●それはマリリン・マンソンやオジー・オズボーンのPVを撮ったディーン・カーン? ポール:そう。彼は自分の作品の中で代表作、一番好きなビデオだと言ってるよ。 レイ:ちょっとジルチの心臓部分からはみ出るんだけど、エイメンとかスペース・エイジ・プレイボーイズとか…hideが出会って『WooFer!!』のコンピレーションに入れたバンドなんだけど、そのプロデュースを僕がやっていたり、僕がオブリヴィオン・ダストをhideに聴かせたりして、KAZがスプレッド・ビーバーに加入したり、ジルチで作った心臓部分のスタッフが『PSYENCE』に参加してたりして、こういう図が出来上がるんだよ。 ●この”ゼロ“や”無“という”バンド“名のジルチにはどんな意味合いが込められているのですか。 レイ:ロシア語のスラングなんだけど、次の世紀に向けてのゼロっていうことで年ごとにカウントダウンしていたり…いろんな意味があるんだよ。”ゼロ“や”ない“というところで、ルールがない。壁がない。人種差別もない。という部分と、新しい可能性みたいなところでゼロの形が地球の形をしていたり、卵の形をしていたり、最後がない輪っかであったり。卵の中で爆弾を育てているんだ。3、2、1、ボーン!! ●では、このジルチではどんなサウンドを作ろうとしたのですか。 ポール:最初に自分達がやりたいという方向性というのはなくて、逆に「こうなりたくない」ということの方がはっきりしていたね。疲れた音楽だったり、計画された音楽だったり…もうそういうことを感じさせるものはやめようと。 レイ:だから、なるべく自然体で。3年近くの製作期間をかけてたんで、少なくてもこの中では自然なものが生まれる環境ができていたし、自分達の他の仕事の部分で、例えばスプレッド・ビーバーにもその影響があるし、他にも”音楽に対する姿勢“という部分で影響が出ていたり…やっぱり3年間、クリエイティブな部分で音楽を作っていたから、それが自分達にプラスになっているよ。音楽が第一だったからね。プレッシャーをかけるレコード会社もなく、「シングルっぽい曲を作れ」とか一度も言われたことがなかったから、自然の状況の中で音楽が作れたし(笑)。 ●すごくいい環境だったんですね。 レイ:心からの音楽が結果的に作れたと思うよ。本当に自分達の心から出てきたもので、(お尻を指して)ここから出たものじゃないんだ。アルバムからも、ビデオからも、ラジオから流れたときにもそれが伝わってくれればいいと思っているしね。 ●そんなジルチの楽曲はどんなふうに作られるのですか。制約がないだけに楽しく作業が進められたと思うんですけど。 レイ:楽しいところで言うとアメリカでやったのにアメリカ人が一人もいなくて、サーカス状態で、変なヤツばっかりが集まったんだよ。スタジオの中がみんなガイジンだし、おもちゃ屋さんみたいになってた。お面とかおもちゃがバーと置いてあって、犬が走り回ってて、「今日は女装で~す」ってみんな女装してスタジオにやって来ないといけなかったり…そんな楽しい部分を除くとみんながセラピーになった部分があって、みんなが何かを求めていて、それがくっついたときに「やっと一つになれる人を見つけた」というところで、そこで一人ひとりが成長する時期でもあったし、一人ひとりの性格もその人の歴史もばっちり組み合わされていたから、すごくスムーズなプロセスだったよ。心を開いてホントに正直なことをそういう環境の中で作るのは楽しいし、意外と簡単なプロセスなんだけどね。さっき言った”ガイジン“というのも、すごく大事なテーマだったんだよ。バンド名の案として”ここガイジン“とか”ローカル・ガイジン“なんてものもあったしね。だって、僕達はみんな外人だったから(笑)。だから、国際的なバリアを壊すという意味があって、「Electric Cucumber」のPVでも「ガイジンがやって来るぞ」みたいなところで、宇宙船が街にやってきて、エイリアンが降りてくるという。 ポール:そう、猿を連れてね。 ●国籍の違う人が一緒になって曲を作っていると、やはり個人が持つバックグラウンドも違うから、いろんなアイデアが飛び交ったんじゃないですか。 レイ:基本的にhideと僕がアイデアを出し合って、「あれはどう? これはどう?」っていうプロセスだったんだけど、すごくスムーズだったよ。いいものを生むために、ポジティブな部分でみんなが意見を出し合ったし、hideはエゴのかたまりじゃなくて、才能のかたまりだった。頭でっかちになっていたり、他の人に対して何も言えなくなったりすることがなかったし、そこは僕達も影響されたね。それにやっぱりいろんなバックグラウンドの人がいたから、その全部をまとめる作業というのがあって、その結果おもしろくなったのが、『3・2・1』は元のアルバムがないリミックスアルバムみたいな感じになったというところだね。 ●1回完成してもどんどん新しいアイデアが盛り込まれていって、どんどん転がり続けていったという部分で? ポール:今でもそれは転がり続けているよ。リミックスアルバムのさらなるリミックスアルバムが作れるぐらい(笑)。 ●そうやって転がり続けて進化した結果になるのかもしれないのですが、このアルバム『3・2・1』は70年代や80年代のテイストを持ちつつ、90年代世紀末…もしくは21世紀を見たジルチのサウンドになってますよね。 レイ:僕達にとっては70年代の音楽というのはヒーロー的な存在だし、実際にhideがミック・ロンソン的な存在に自分の中でなっている。グラムロックというのがみんなのルーツの中にあるんだけど、決してそれをリサイクルすることはなく、自分達の文化を作ろうしているところでのクラッシュがこういう作品を生んだんだよね。だから、このアルバムにはリサイクルマークは付いてないよ(笑)。...次の動画に続く。